Ansys Studentは、構造解析や流体解析などを学ぶ学生向けに、Ansysのシミュレーション環境を無料で提供する学生版ソフトウェアです。Ansys Workbenchを中心に、Ansys Mechanical、Ansys CFD、Ansys Discoveryなど複数の製品・機能がまとめて収録されています。
2026年7月29日時点では、公式ページからAnsys Student 2026 R1をダウンロードできます。2026 R1に内蔵されるライセンスの有効期限は2027年3月31日です。ただし、この日付は2026 R1という製品バージョンの期限であり、Ansys Student制度全体の終了日ではありません。
先に確認したいポイント
- 利用できるのは自己学習、学生指導、学生プロジェクト、学生デモンストレーションなどの教育用途です。
- 公式対応OSはMicrosoft Windows 10・11の64ビット版です。
- Ansys Discoveryは、ほかの収録製品よりGPU条件が厳しく、対応する専用NVIDIA GPUが必要です。
- 学生版には解析規模やジオメトリエクスポート、HPCなどの機能制限があります。
Ansys Studentとは
Ansys Studentは、世界の学生が無料でダウンロードできるAnsys Workbenchベースの学生向けバンドルです。単独の解析ソフトではなく、構造、流体、光学、粒子、最適化などに関係する複数の製品や機能を1つの学生版環境で利用できます。
大学の授業、研究室へ入る前の自己学習、学生プロジェクト、シミュレーションのデモなどに使える一方、商用・受託・業務目的で使えるライセンスではありません。
この記事で分かること
- Ansys Studentを無料で利用できる条件
- 2026 R1の提供状態と内蔵ライセンス期限
- Mechanical、CFD、Discoveryなどの主な収録製品
- Windows対応、メモリ、ストレージ、GPUの公式最低要件
- 構造解析・流体解析の問題サイズ制限
- インストール前に確認する注意点
Ansys Studentの基本情報早見表
| 料金 | 無料 |
|---|---|
| 対象 | 学生向け |
| 利用目的 | 自己学習、学生指導、学生プロジェクト、学生デモンストレーションなどの教育用途 |
| 現在の提供版 | Ansys Student 2026 R1 |
| 2026 R1の内蔵ライセンス期限 | 2027年3月31日 |
| ライセンス期間 | リリース日から更新可能な12か月ライセンス |
| 対応OS | Microsoft Windows 10・11の64ビット版 |
| 主な収録製品 | Ansys Mechanical、Ansys CFD、Ansys Discovery、Ansys Autodyn、Ansys Rocky、Ansys optiSLang、Ansys SPEOS、Ansys Zemax OpticStudioなど |
| 公式ページ確認日 | 2026年7月29日 |
学生版の料金と利用目的
Ansys Studentは無料でダウンロードできます。無料だから用途を問わず使えるわけではなく、公式ページでは教育用途に限定されています。
確認できる利用目的は、自己学習、学生指導、学生プロジェクト、学生デモンストレーションです。授業の課題や学習用の解析、学生チームの検討などには使えますが、企業案件、受託解析、販売する製品の業務設計などへ利用できるとは案内されていません。
また、公式ページ上では、学校メールアドレスや在籍証明書を使う個別の認証手順までは確認できませんでした。認証が不要または必須とは断定せず、ダウンロード時に表示される最新の案内と利用条件を確認してください。
2026 R1の提供状態とライセンス期限
2026年7月29日の確認時点で、公式ダウンロードページにはAnsys Student 2026 R1が掲載されています。2026 R1の内蔵ライセンスは2027年3月31日まで有効です。
この期限を「Ansys Studentの無料提供が2027年3月31日に終了する」という意味で扱わないよう注意が必要です。公式ページではライセンス期間を、リリース日から更新可能な12か月ライセンスと案内しています。利用中のバージョンが期限に近づいた場合は、公式ページで新しいリリースや更新方法を確認してください。
収録される主なAnsys製品
Ansys Studentは、Ansys Workbenchを中心に複数の解析製品をまとめたバンドルです。公式ページで確認できる主な収録製品は次のとおりです。
- Ansys Mechanical
- Ansys CFD(Ansys CFX・Ansys Fluent)
- Ansys Discovery
- Ansys Autodyn
- Ansys Rocky
- Ansys optiSLang
- Ansys SPEOS
- Ansys Zemax OpticStudio
- Ansys SpaceClaim
- Ansys Workbench
このほかにも複数のアプリケーションやWorkbench解析システムが含まれます。2025 R2以降はAnsys Zemax OpticStudioもAnsys Studentに収録されています。
なお、Ansys LS-DYNA Student、Ansys Electronics Desktop Student、Ansys SCADE Studentは別の学生向け製品です。本記事のAnsys Student本体に、これら別製品の機能がすべて含まれるという意味ではありません。
Mechanical・CFD・Discoveryでできること
Ansys Mechanical
Ansys Mechanicalは、構造分野の解析を学ぶために利用できます。Ansys Studentには静的構造、モーダル、過渡構造、定常熱などのWorkbench解析システムが含まれています。
Ansys CFD
Ansys CFDにはAnsys CFXとAnsys Fluentが含まれ、流体分野の解析学習に利用できます。学生版では流体解析の問題サイズに上限があるため、授業や演習で扱うモデルが制限内か事前に確認しておくと安心です。
Ansys Discovery
Ansys Discoveryは、構造や流体のシミュレーション学習に利用できます。ただし、DiscoveryはGPUを重視する製品で、ほかの収録製品とは別に専用NVIDIA GPUなどの要件が示されています。Ansys Studentをダウンロードできても、PCがDiscoveryのGPU要件を満たさなければDiscoveryは動作しません。
対応OSはWindows 10・11の64ビット版
公式ページで対応OSとして記載されているのは、Microsoft Windows 10・11の64ビット版です。32ビット版Windowsは対象に含まれていません。
MacやLinuxは、Ansys Studentの公式対応OSとして掲載されていません。MacやLinux上の仮想環境で正常に使えるかも、今回確認した公式ページでは確定できませんでした。大学の授業で利用する場合は、指定OSと指定バージョンを担当教員や学内案内でも確認してください。
ダウンロード前に必要な空き容量と管理者権限
Discovery以外の収録製品について、公式最低要件には50GBのハードドライブ空き容量が記載されています。さらに、物理的なCドライブが存在するPC、管理者権限、OpenGL対応のグラフィックス環境が必要です。
ダウンロードファイルの正確な容量は、今回確認した公式ページでは明示されていません。50GBは公式の最低ストレージ要件であり、ダウンロードファイルそのものの容量ではありません。展開用の一時領域や授業データの保存も考え、空き容量に余裕を持たせてください。
Discovery以外の公式最低要件
| 項目 | 公式最低要件 |
|---|---|
| プロセッサー | ワークステーションクラス |
| メモリ | 4GB RAM |
| ストレージ | 50GB |
| ドライブ | 物理的なCドライブが必要 |
| グラフィックス | プロフェッショナルワークステーションクラスの3Dグラフィックス、OpenGL対応 |
4GB RAMと50GBは公式の最低要件です。快適な解析速度を保証する推奨スペックではありません。解析モデルの規模、使用する製品、同時に開くアプリ、大学の授業要件によって必要な性能は変わります。
PC選びでは、最低要件を満たすかだけでなく、授業で扱うモデル規模や指定ソフトも確認してください。理系学生向けのPC全体の選び方は、理系学生のノートPC選び|分野別スペックと用途別おすすめ候補5つと理系大学生向けPCの選び方|専攻別おすすめスペックと購入前チェックでも整理しています。
Discoveryに必要な専用GPUとVRAM
Ansys Discoveryは、計算と表示にGPUを利用するため、ほかの収録製品より明確なGPU要件があります。公式ページでは、専用NVIDIA GPU、4GB以上のVRAM、最新のGPUドライバーが必要と案内されています。VRAMは8GBが推奨されています。
対応するGPUがない場合、Discoveryは動作しないと明記されています。内蔵GPUだけのノートPCや、GPUの型番・VRAM容量が分からないPCでは、購入前またはインストール前に確認が必要です。
ただし、公式ページに記載されたGPU世代や推奨表現は更新される可能性があります。最新の対応状況はAnsys公式の互換性確認ツールやシステム要件で再確認してください。
GPU搭載ノートPCの必要性を用途別に確認したい場合は、RTX 5060ノートは大学生に必要?Adobe・CAD・AI用途別に判断も参考になります。
インストール手順と既存Ansys製品の注意点
- Ansys公式ページからAnsys Studentのインストールファイルをダウンロードします。
- ダウンロードした圧縮ファイルを展開します。
- setup.exeを右クリックし、「管理者として実行」を選びます。
- ライセンス条件を確認して同意します。
- インストーラーの案内に従って進めます。
- インストール完了後にPCを再起動します。
- スタートメニューからWorkbenchを起動します。
公式ページでは、インストール前に既存のAnsys製品をアンインストールするよう案内されています。Ansys Studentのインストールによって既存インストールが上書きされる可能性があるため、大学や研究室から別バージョンを指定されている場合は、勝手に入れ替えず担当者へ確認してください。
構造解析・流体解析の問題サイズ制限
学生版は無料で利用できますが、解析できる問題サイズに上限があります。Ansys StudentおよびDiscoveryのRefine Modeについて、公式ページでは次の制限が示されています。
- 構造解析:128Kノード・要素
- 流体解析:100万セル・ノード
小規模な学習モデルや授業演習では利用できても、大規模な研究モデルや商用規模の解析では上限に達する可能性があります。モデルを作り込む前に、授業資料やプロジェクトで必要なノード数・要素数・セル数を確認してください。
ジオメトリエクスポートやHPCなどの機能制限
問題サイズ以外にも、学生版には機能制限があります。公式ページで確認できる主な注意点は次のとおりです。
- ジオメトリエクスポートは利用できない
- HPCはCPU最大4コアまで
- FluentのGPU計算は40 SMまで
- Ansys Rockyには粒子数やSPH要素数、GPU利用、モジュールなどの制限がある
- Ansys SPEOSには形状数、面数、三角形数、ライブプレビュー、GPU計算などの制限がある
- Ansys Zemax OpticStudioには非シーケンシャルモードや一部最適化・公差解析などの制限がある
学生版の画面に機能名が表示されていても、利用できない機能がグレー表示になる場合があります。商用版と完全に同じ機能や計算規模を利用できるわけではありません。
学生版を商用目的で使わないための注意
Ansys Studentの無料ダウンロードは教育用途に限定されています。学習成果をポートフォリオとして整理する場合でも、企業の有償案件や受託業務の解析環境として使わないようにしてください。
授業と企業プロジェクトが混在する共同研究など、用途の判断が難しい場合は、大学の担当部署またはAnsysへ利用条件を確認するのが安全です。
MacやLinuxを使う学生の注意点
公式対応OSはWindows 10・11の64ビット版です。MacやLinuxへのネイティブインストール対応は、今回確認した公式ページでは案内されていません。
仮想環境、デュアルブート、リモートPCなどで利用できるかは、PC構成や大学の環境によって変わります。本記事では動作を保証できないため、Windows PCを用意する前に大学の演習室、研究室PC、リモート環境の利用可否も確認してください。
Ansys Student用PCを選ぶときの判断順
- 大学や授業で指定されるAnsysの製品名とバージョンを確認する
- Windows 10・11の64ビット版に対応しているか確認する
- Discoveryを使うか確認する
- Discoveryを使う場合は専用NVIDIA GPUとVRAMを確認する
- 50GB以上の空き容量と物理Cドライブを確認する
- 扱うモデルが学生版の問題サイズ制限内か確認する
統計解析やデータ分析も同じPCで行う場合は、大学生の統計解析・データ分析用PCスペック|16GB・32GBとGPUの判断基準もあわせて確認すると、用途全体からメモリやGPUを判断しやすくなります。
よくある質問
Ansys Studentは本当に無料ですか?
はい。Ansys公式ページから学生向けに無料でダウンロードできます。ただし、自己学習、学生指導、学生プロジェクト、学生デモンストレーションなどの教育用途に限定されています。
Ansys Fluentは含まれますか?
はい。Ansys StudentのAnsys CFDにはAnsys CFXとAnsys Fluentが含まれます。
Ansys Mechanicalは含まれますか?
はい。Ansys MechanicalとAnsys Mechanical APDLが公式収録一覧に掲載されています。
Ansys StudentはMacで使えますか?
公式対応OSとして掲載されているのはWindows 10・11の64ビット版です。Macへのネイティブ対応や仮想環境での正常動作は、今回確認した公式ページでは確定できません。
4GBメモリのPCで快適に使えますか?
4GB RAMはDiscovery以外について記載された公式最低要件です。快適な動作を保証する推奨値ではありません。利用する製品、モデル規模、同時に動かすアプリによって必要なメモリは変わります。
Discoveryは内蔵GPUで使えますか?
公式ページでは専用NVIDIA GPUと4GB以上のVRAMが必要とされ、条件を満たすGPUがなければ動作しないと記載されています。内蔵GPUだけで必ず動作するとはいえません。
2027年3月31日で無料学生版は終了しますか?
2027年3月31日はAnsys Student 2026 R1の内蔵ライセンス期限です。Ansys Student制度全体の終了日として案内された日付ではありません。
学生版に解析規模の制限はありますか?
はい。代表例として、構造解析は128Kノード・要素、流体解析は100万セル・ノードの上限があります。ほかの収録製品にも個別の制限があります。
学校メールアドレスや在籍証明書は必要ですか?
今回確認した公式ページでは、個別の学生メール認証や在籍証明書の提出手順を確認できませんでした。不要または必須とは断定せず、ダウンロード時の最新案内を確認してください。
まとめ
Ansys Studentは、Ansys Mechanical、Ansys CFD、Ansys Discoveryなどを無料で学べる学生向けシミュレーションソフトウェアです。2026年7月29日時点の提供版はAnsys Student 2026 R1で、内蔵ライセンスは2027年3月31日まで有効です。
対応OSはWindows 10・11の64ビット版です。Discovery以外には4GB RAMと50GBストレージなどの公式最低要件が示されていますが、これは快適動作を保証する推奨スペックではありません。Discoveryを使う場合は、専用NVIDIA GPUと4GB以上のVRAMも確認してください。
学生版には問題サイズや機能の制限があるため、授業や研究で必要な製品、モデル規模、大学指定バージョンを確認してからダウンロードするのが安全です。
公式情報
公式情報確認日:2026年7月29日







