大学生がノートパソコンでAdobe Premiere Proを使う際に必要なメモリ量を、用途別に詳しく解説します。フルHD編集なら16GB、4K編集なら32GB以上が一般的な目安です。メモリ容量の選び方から、予算との兼ね合い、将来性まで網羅的にカバーします。
大学生ノートパソコンでAdobe Premiere Proを使うには？
Adobe Premiere Pro（プレミアプロ）は、プロの映像制作者から大学生まで幅広く利用されている動画編集ソフトです。映像制作やメディア系の学部、YouTube活動、サークルのプロモーション動画制作など、大学生活で動画編集の機会は意外と多くあります。
Premiere Proを快適に使うためには、メモリ（RAM）の容量が非常に重要です。メモリはPCの「作業机の広さ」に例えられ、容量が多いほど複数の作業を同時にスムーズに進められます。
メモリ（RAM）は、パソコンが作業を行う際に一時的にデータを保存する場所です。容量が大きいほど、複数のアプリを同時に開いたり、重いファイルを扱ったりする際に快適に動作します。動画編集では特に重要なパーツです。
この記事では、大学生ノートパソコンでAdobe Premiere Proを使う際の推奨メモリ量を、用途別に詳しく解説します。
Adobe Premiere Proの公式推奨メモリスペック
まずは、Adobeが公式に推奨しているメモリ容量を確認しましょう。編集する動画の解像度や作業の複雑さによって、必要なメモリ量は大きく変わります。
| 用途・解像度 | 最小構成（動作要件） | 推奨構成（快適に使える目安） |
|---|---|---|
| Windows版（一般） | 8GB | 16GB～32GB以上 |
| Mac版（Appleシリコン） | 8GB | 16GB以上の統合メモリ |
| HDメディア（720p） | 8GB | 16GB |
| フルHD（1080p） | 8GB | 16GB～32GB |
| 4K以上の高解像度 | 8GB | 32GB～64GB以上 |
Adobeが示す「最小構成」の8GBは、「とりあえず起動できる」レベルです。実際の編集作業では、動作が遅い、カクつく、フリーズするといった問題が頻発する可能性が高いため、推奨構成を目安にすることをおすすめします。
【用途別】大学生に必要なメモリ量の目安
大学生がPremiere Proを使う場合、どのような編集をするかによって必要なメモリ量が変わります。ここでは、用途別に最適なメモリ容量を解説します。
🎬 初心者・軽めの編集
推奨メモリ：16GB
対象：フルHD動画のカット編集、簡単なテロップ入れ、YouTubeやSNS用の動画制作
映像制作を始めたばかりの大学生や、簡単な動画編集が中心の場合は、16GBで十分対応できます。
🎥 中級者・本格的な編集
推奨メモリ：32GB
対象：4K動画の編集、複数レイヤーの使用、エフェクト多用、カラーグレーディング
映像サークルや学部の課題で本格的な動画を制作する場合は、32GBが快適です。
💼 プロレベル・高度な編集
推奨メモリ：64GB以上
対象：4K以上の長編映像、After Effectsとの併用、複雑な合成作業
将来的にプロの映像制作を目指す学生や、非常に高度な編集を行う場合は64GB以上が理想です。
メモリ容量別：できることの違い
メモリ容量によって、Premiere Proでどのような作業が快適にできるのか、具体的に見ていきましょう。
8GB：最小構成（非推奨）
- フルHD動画でもプレビュー時にカクつきが発生しやすい
- エフェクトを追加すると動作が重くなる
- 他のアプリ（Chrome、Photoshopなど）を同時に開くと動作不安定に
- 書き出し（レンダリング）に非常に時間がかかる
一般的には、本格的な動画編集には不向きとされています。
16GB：フルHD編集の標準
- フルHD（1920×1080）動画の快適なカット編集
- 簡単なテロップやトランジションの追加
- YouTubeやSNS用の動画制作
- 軽めのカラーコレクション
- 同時に1～2個の他アプリを起動可能
多くの大学生にとって、コストパフォーマンスが最も高い選択肢です。
フルHD動画の編集や、簡易的な4K編集には16GBで対応できます。ただし、エフェクトを多用したり、複数のアプリを同時に起動したりすると、動作が重くなることがあります。
32GB：4K編集も快適
- 4K（3840×2160）動画の快適な編集
- 複数レイヤー（トラック）の使用
- 本格的なカラーグレーディング
- エフェクトやトランジションの多用
- Photoshop、Illustratorとの同時使用
- マルチカメラ編集にも対応
本格的な映像制作を目指す大学生に最適なメモリ容量です。
32GBあれば、4K動画の編集やマルチカメラ編集など、プロレベルに近い作業も快適に行えます。カラーグレーディングなど負荷の大きな作業もスムーズです。
64GB以上：プロフェッショナル仕様
- 4K以上（6K、8K）の超高解像度動画の編集
- After Effectsとの本格的な連携作業
- 長編映像（30分以上）の制作
- 複雑な合成作業やVFX制作
- 複数の4Kプロジェクトを同時に開く
将来的に映像制作のプロを目指す場合や、非常に高度な編集を行う大学生には64GB以上が推奨されます。
64GBは、プロの映像制作者やクリエイターが使用するレベルです。大学生のうちから本格的に映像制作に取り組みたい場合や、将来的に映像業界への就職を目指す場合に検討する価値があります。
メモリ容量が作業効率に与える影響
メモリ容量の多寡は、Premiere Proでの作業効率に直接的な影響を及ぼします。具体的にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
プレビュー再生のスムーズさ
メモリが多いほど、編集中のプレビュー再生がスムーズになります。4K動画のマルチカメラ編集など、負荷の高い作業では、メモリの大きいPCの方が明らかに快適です。
動作の安定性
メモリが不足すると、動作遅延、カクつき、フリーズ、またはアプリのクラッシュが発生しやすくなります。十分なメモリがあれば、長時間の作業でも安定して動作します。
マルチタスク性能
Premiere Proで編集しながらPhotoshopでテロップを作成したり、Chromeで資料を調べたりするマルチタスクにおいて、メモリ容量が大きいほど快適に作業できます。
書き出し（レンダリング）時間
メモリ不足に陥ると、レンダリングやエンコードの速度が低下し、書き出しに時間がかかります。ただし、32GBと64GBでの書き出し時間の差は、作業内容によってはほとんど変わらない場合もあります。
メモリが不足すると、PCはストレージ（SSD/HDD）を一時的な記憶域（仮想メモリ）として利用し始めます。SSDの性能で動作は維持されることもありますが、PC本来のパフォーマンスが出ず、処理が遅くなります。
MacBook（Appleシリコン）でPremiere Proを使う場合
MacBookのAppleシリコン搭載モデル（M1、M2、M3、M4など）を使う場合、メモリの考え方が少し異なります。
ユニファイドメモリの特徴
Appleシリコン搭載MacBookでは、メモリは「ユニファイドメモリ」と呼ばれ、CPUやGPUと統合されています。この設計により、Windows PCと比較して効率的にメモリを使用できる特徴があります。
- M4チップ（MacBook Air）：16GBでカジュアルな動画編集なら十分。フルHD編集が中心の場合に適しています。
- M4 Proチップ（MacBook Pro）：16GBでも使えますが、32GBが推奨されます。4K編集やエフェクト多用のフルHD編集に最適です。
- M4 Maxチップ（MacBook Pro）：64GB以上が推奨されます。本格的な4K編集や長編映像制作を行うプロ向けです。
一般的には、M4チップ搭載MacBook Airでも、編集時のもたつきはあまり感じられず、カジュアルな動画編集であれば問題なく使用できるとされています。
MacとWindowsの選び方については、MacかWindowsどちらを選ぶべきかの記事も参考にしてください。
大学生がメモリ容量を選ぶ際のポイント
大学生がノートパソコンを選ぶ際、メモリ容量だけでなく、予算や将来性も考慮する必要があります。
予算とのバランス
メモリ容量が増えると、パソコンの価格も上昇します。一般的には、以下のような価格帯になります。
| メモリ容量 | 価格帯の目安 | コストパフォーマンス |
|---|---|---|
| 8GB | 5万円～8万円 | 動画編集には不向き |
| 16GB | 8万円～15万円 | フルHD編集には最適 |
| 32GB | 15万円～25万円 | 4K編集にも対応 |
| 64GB | 25万円以上 | プロレベルの編集向け |
上記の価格帯は時期や構成により変動します。購入前に最新情報をご確認ください。また、学生向けの割引や、お得な購入方法については大学生パソコンをお得に購入する方法をご覧ください。
将来性を考慮する
大学生活は4年間あり、その間に動画編集のスキルが向上したり、より高度な作業が必要になったりする可能性があります。
- 現在フルHD編集が中心：16GBで十分ですが、将来4K編集に挑戦する可能性があるなら32GBも検討価値あり
- 映像制作を本格的に学びたい：最初から32GBを選ぶと、長く快適に使える
- 趣味程度の動画編集：16GBで十分。予算を他の部分（CPU、GPUなど）に回すのも一つの選択肢
メモリ以外の重要スペック
Premiere Proを快適に使うには、メモリだけでなく他のスペックも重要です。
- CPU：Core i7 / Ryzen 7以上、またはAppleシリコン（M3 Pro以上）が推奨されます。詳しくはCPUおすすめランキングをご覧ください。
- GPU（グラフィックス）：NVIDIA GeForce RTX 3050以上、またはRadeon RX 6600以上が理想的です。
- ストレージ：SSD 512GB以上（できれば1TB）が推奨されます。動画ファイルは容量が大きいためです。
動画編集向けパソコンの総合的な選び方については、デザイン・映像編集向け大学生パソコン完全ガイドや大学生向け動画編集ノートPCのおすすめ比較をご参照ください。
メモリ容量に関するよくある質問（FAQ）
Premiere Proは8GBメモリでも使えますか？
8GBでもPremiere Proは起動し、簡単な編集は可能です。ただし、フルHD動画でもプレビュー時にカクつきが発生しやすく、エフェクトを追加すると動作が重くなります。快適に使いたい場合は、最低でも16GB以上を推奨します。
16GBと32GB、どちらを選ぶべきですか？
編集する動画の解像度と用途により異なります。フルHD動画のカット編集やYouTube用動画制作が中心なら16GBで十分です。4K動画の編集や複雑なエフェクト作業を行うなら32GBが推奨されます。予算に余裕があり、将来的に高度な編集をする可能性があるなら、32GBを選ぶと長く使えます。
メモリは後から増設できますか？
デスクトップPCであれば増設可能な場合が多いですが、ノートパソコンの多くはメモリが基板に直付け（オンボード）されており、後から増設できないモデルがほとんどです。特にMacBookは全モデルで増設不可です。そのため、購入時に十分なメモリ容量を選ぶことが重要です。
After Effectsも使う場合、メモリはどれくらい必要ですか？
After Effectsは非常にメモリを消費するソフトです。Premiere ProとAfter Effectsを併用する場合、最低32GB、できれば64GB以上のメモリが推奨されます。特に、64GBのメモリがあると、明らかに快適さを感じることができ、書き出し時間も短縮されるという検証結果があります。
フルHD編集しかしないなら、8GBで十分ですか？
フルHD編集でも、8GBでは不十分なケースが多いです。Premiere Pro以外のアプリ（Chrome、Photoshopなど）を同時に開くと、メモリ不足になりやすく、動作が不安定になります。快適に編集作業を進めたい場合は、16GB以上を選ぶことを強くおすすめします。
MacBook AirとMacBook Pro、メモリはどう選ぶ？
MacBook Air（M4チップ）は、カジュアルな動画編集（フルHD中心、短い動画）なら16GBで問題ありません。MacBook Pro（M4 Proチップ以上）で本格的な4K編集やエフェクト多用の作業をする場合は、32GB以上が推奨されます。詳しくはMacBook AirとProの選び方をご覧ください。
【結論】大学生にはどのメモリ容量がおすすめ？
大学生がノートパソコンでAdobe Premiere Proを使う場合、最適なメモリ量は用途により異なります。以下を参考に、自分の編集スタイルに合ったメモリ容量を選びましょう。
用途別：推奨メモリ容量まとめ
初心者・軽めの編集：16GB
フルHD動画のカット編集、YouTube用動画制作など、一般的な動画編集には16GBが最適です。コストパフォーマンスも高く、多くの大学生におすすめです。
中級者・本格的な編集：32GB
4K動画の編集、複雑なエフェクト作業、カラーグレーディングなど、本格的な映像制作には32GBが推奨されます。将来的にプロを目指す学生にも最適です。
プロレベル・高度な編集：64GB以上
After Effectsとの本格的な併用、6K/8Kの超高解像度編集、長編映像制作など、非常に高度な作業には64GB以上が理想です。
- 最適なメモリ容量は、編集する動画の解像度と作業内容により異なります
- ノートPCのメモリは後から増設できない場合が多いため、購入時に十分な容量を選ぶことが重要です
- 予算と将来性のバランスを考慮して選びましょう
- メモリだけでなく、CPU、GPU、ストレージも重要なスペックです
メモリの基礎知識については4GBと8GBメモリの違いを徹底解説、パソコン全体のスペック選びについては大学生パソコンの必要スペック完全ガイドも合わせてご覧ください。
また、Adobe製品を格安で入手する方法については、Adobe全製品を格安で使う方法で詳しく解説しています。
個人の使用状況により必要なメモリ容量は変わります。また、パソコンの価格は時期により変動しますので、購入前に最新情報をご確認ください。この記事が、あなたの動画編集ライフを快適にするパソコン選びの参考になれば幸いです。
